「女が歯科医になること」についてあれこれ

木曜日の女性歯科医会講習会の帰りに同じ方向に帰る先生と話した。
彼女は４０歳過ぎの先生だ。
楽しくおしゃべりしているうちに
どうして歯科医になったかという話になった。

私は、経済的に自立したいという気持ちがあったから。

高校２年の時に社会科の先生が今は、女は学校の先生か、医者以外の職業では、
経済的に自立できないと授業のたびに言っていた影響を受け、急遽、変更した。
英文科で好きな英文学を原書ですらすらと読みたいとおもっていたが。
医師になって人の死ぬ場にはいたくないという情けない理由から、
また、父母が歯科医だった影響もあり歯科大学希望にきめた。

同行の先生は、祖父さまが歯科医になられ、そのあとをお父様が継がれておられる。
彼女は３人姉妹で、彼女は小さいころから祖父、祖母から３代目の後継者と
言われてそだったのだそうだ。
この点は我が息子とそっくりだ。

歯科医になると言う私に、母は言った。
「職業婦人は世間の風あたりが強いわよ、女の仕事がきちんとできないと仕事が
どんなに出来ても批難の目でみられる。誰かの妻となる、子供を持つ事を考えるなら、
特にね。
勿論独身でいるなんて考えるのはやめなさい。親兄弟皆に迷惑をかけるのだから。
仕事もきちっとしなければ喜びは生まれないし家族を幸せにしようと思ったら
まず体を丈夫にすることね。」

大学に入学してからの母は私が帰郷するからと、春夏冬の各休みには、お手伝いさん、
歯科医院の助手に休みをやっていた。だから、この休暇中、掃除洗濯食亊作り、受付事務、
保険請求書書きなどなど一日中働いた。勿論バイト料等当時は親も子も考えもしなかった。

同行の彼女は，違っていた。
私の話を聞いてびっくりしながら、自分の場合を話してくれた。
小学校のときからお母さんが３人姉妹のおねえちゃんに台所でお手伝いを教えて
いるとお祖母さんが
「この子は歯科医になるのだから台所仕事をさせる必要はありません。
あなたが大変なら私がやりますよ。」
と言ったそうだ。

だからほとんど家事はせずに成長した。今も実家で仕事をしている。家事はほとんどしない。
勿論彼女は結婚している。子供はまだない。

今になってみれば、どうなのだろうか。結果に差はない。
違う所は彼女は実家で仕事をしているが、私は弟が跡を継いで、私は、結婚して
家をでた。
　
相変わらずこの世の中、働く女が母親になり子育てをし，なお仕事に生き甲斐を
持つのは難しい。

また、独身でもなかなかなのではないだろうか。
この競争の世界、仕事も口ばかり見ているわけにはいかないし、、。

コメント 3

興味深く読ませて頂きました。そういう経過だったのですね～
私の母は、「女は手に職を」みたいな意味で、先生と呼ばれるような技術を身につけなさいと言っていました。結局ダメでしたが．．．
親の生業を子どもに継がせたい気持もよくわかりまし、応える子どもも偉いと思います。
by サイコ (2008-02-04 17:15) 

サイコさま　　　レスをありがとうございました。
このごろ、生業を子供がついでくれて、とても嬉しく感じます。
後継者のいないつらさを目のあたりにたびたび見ますので、、。
スウェーデンの事をkaoruさんに聴きましたが,国民全員が働かなければ立ち行かないのだから、、とおしゃいましたが、そうしたら自然に
いやでも平等になり懸命に働かなければならなくなるのかもしれませんね。
by ytakahahsi (2008-02-04 22:39) 

ですけれど、サイコさん、、。私の周りの友人には、専業主婦を続けてきた方々かそれこそ女の歯医者よりたくさんいる。

みな、暮らしにゆとりを持って生き生きとそしてゆったりと暮らしていらっしゃる。そのおかげできっと家族も同じように暮らしている。
みんなが仕事をもったらこんな暮らしのすばらしさはあっという間に消えてしまうのでは、、。心配。

衣食住、子育て、介護など、オーダーメードでなされるべきいろいろなことが全部分業、時間に追われがさつなものになってきつつある、、、。

欲張りな人生とは両立しないのでしょうか。
by ytakahahsi (2008-02-05 10:16)